
21世紀に突入し既に10年が経過しました。
バブル崩壊以後に物心ついた私は、作れば売れる、という右肩上がりの経済を知りません。しかし、世間では経済成長を取り戻すことが善であるという観念のもと、やれ景気回復だ、構造改革だ、内需拡大だ、新産業発掘だと叫ばれ続けてきました。護送船団方式から資本主義国家として真の市場経済の導入を目指し、その甲斐あって市場経済の原理は随分浸透しました。
例えば、能力が高い人、世渡り上手な人とそうでない人の間に所得や環境の格差が生まれました。アメリカほどではありませんが、都市の一部に人や組織に富は集中し、人材や資源の少ない地方の財政は一層悪化しました。目指したものは、弱肉強食の公平な競争社会と弱者へのセーフティネット構築。これらは達成できたのでしょうか。或いは正しかったのでしょうか。ひとつ言えるのは、これら一連の過程は恐らく必要だったのだと思います。
我々が、富では測れないものにこそ本当は価値があると気付くためです。
翻ってみると、資本主義が生みだす浮き沈みを日本ほど短期間で経験している国は無いと思います。戦後の焼け野原で、物資が全くない状態からジャパンアズナンバーワンと言われるまでの目覚ましい経済成長、バブル崩壊から金融ビッグバン、構造改革を経てグローバル経済がもたらす恩恵も痛みも経験。この間およそ60年。短期間で資本主義の酸いも甘いも知り尽くした日本とは、世界を見回しても極めて稀有な国ではありませんか。起きる物事全てに意味があるというスタンスで日本の現代史を眺めますと、資本主義のほとんどあらゆる局面を経験することは、資本主義以後の世界や社会の在り方を提示するのに必要な経験要件を備えるためであったと言えるのではないでしょうか。
ではどんな世界や社会をデザインするのか。私見ですが、まずは計測軸や価値観を変えるべきだと思います。GDPなど経済オンリーの軸ではなく、総合的な幸福度を表す軸や価値観を設定すべきです。そのヒントは、地方の農村共同体にあると思っています。
農村は閉鎖性や視野が狭い部分もありますが、自然共生、相互扶助、他者への尊重と配慮、勤労の美徳など今の日本人が忘れてしまいがちな、思いやりが根底で呼吸する共同体の暗黙のルールや価値観があります。どれをとっても持続可能的で良くできた日本人の知恵です。これらをベースに最新の組織や人材をマネジメントする英知を融合させるのです。例えば、日本の農村には無かった多様性の許容(ダイバーシティ)、対話や個人の内発的動機に基づいた行動の重視などです。富では測り難い価値観が浸透しているかどうかが幸福度の一つのメジャーとはなりえないでしょうか。
しかしながら、日本の現状は、年間3万人を超える自殺者数、うつ病・精神病の増加、仕事に対する希望の喪失、無縁社会などなど、残念ながら幸福度を語る以前の状態にありそうです。 我々は、都心の皆さまが感じる閉塞感を打破する生き方・働き方として、農村が持つ価値観やルールをベースに現代の英知を融合し、螺旋階段を一段上がった価値観や尺度を提示していきます。そしてそれらを保有した職業人“アースカラー”を育成・輩出します。
当社は、個人個人の自己実現と事業運営を両立させる仮説検証プロジェクトです。理念に共感を頂ける方々と手を取り合い、楽しみながら検証し、新たな価値を生み出して参ります。株式会社アースカラーをどうぞ宜しくお願いいたします。
2010年7月 設立の挨拶に代えて
高浜 大介